アロマテラピーを学び約20年になります。アロマテラピーの経験を積み重ね仕事として行い始めると、精油の小瓶の向こうの植物原料が知りたくなり、10年前からはメディカルハーブ療法、さらに数年前からフラワーエッセンス療法を学んでいます。
里山に7年前に移り住んでからは、地球のお庭と名付けた畑にたくさんのハーブを育て、ハーブのレッスンを行うことが多くなりました。
精油だけでなく、その向こうのハーブ、そしてそられが育つ環境、回りの植物や虫とのかかわりあい、季節の流れを通じての成長や変化を間近に見、自分自身の意識が精油の小瓶から大きく広がったように感じます。
植物療法というと、アロマテラピー、ハーブ療法、フラワーエッセンス療法などが中心としてあげられます。当たり前ですが、これらは植物を使った療法なので植物療法といいます。
ただ、日本で植物療法を学んでも、その原料となる実際の植物を知って、活用している方はとても少ないのが現状と言えます。講師やセラピストの仕事をしていても、実際に植物に触れている方は少ないのではないでしょうか。
私自身は植物療法を行う上で、植物を深く知ることによって、初めて精油やドライハーブ、フラワーエッセンスが生きたエッセンスとして扱えるようになると感じています。
なぜ、植物療法を行う上で、原料となる植物を深く知る必要があるのか、お伝えしたいと思います。
広島市植物公園で「植物療法のための植物観察会」というレッスンを行っています。こちらのレッスンは、どなたでも気軽に参加できるような内容になっています。
こちらで行っている植物観察は、机上の勉強を離れて、実際の生きた植物を見ながら、その植物がどんな風に植物療法で使われるのか、植物の薬効などをお伝えし、植物一つ一つの自己紹介をしています。
たくさんの植物を短時間に見ていく、いわゆる普通の植物観察会ですが、少し違うのは、科ごとの植物の形態を毎回一つ取り上げて、その形態についてもお伝えするということ。
実は、植物の色や形には大きな意味があるので、こちらの観察会では、植物の新たな一面に気づくというのが、大きな目標でもあります。
参加者さんの感想
【(植物療法のための植物観察会では)「植物の姿からその特性を知ること」ということをたくさん学びます。昔の人は、どうしてその薬効を発見したのだろう…としばしば不思議に思います。植物の姿やその生きて子孫を残していく様子をよく観察し、植物の声を聞いてそられを見出したのだなぁ…ということを、先生のガイドから想像します。(中略)観察会でその植物のストーリーを聞くと、ひとつひとつの草木、花を見る目が変わります。一緒に地球に暮らす仲間なのだと、なぜかそんなことをしみじみと思った帰り道でした。】
ひとつひとつの草木、花を見る目が変われば私としては大成功。私がすべて伝えなくとも、自然に大切な本質を受け取ってくださる方がいて大変嬉しいです。
さらに、たくさんの植物を見る植物公園で行う観察会とはまた違って、1つの植物を植物と対話するようにじっくり観察する植物観察会を行っています。
ゲーテ・シュタイナー的植物観察という方法を取り入れた「四大元素と植物観察会」。
1.土の観察:先入観をのけて正確に見てスケッチする 2.水の観察:つながりや科ごとの関連性などを見る 3.風の観察:花の姿、色、形、香り、質感などから魂に響くものを感じる 4.火の観察:植物の本質的な力と出会う。
という感じで土→水→風→火という四大元素の流れで1つの植物をじっくりと対話するように見ていきます。
四大元素というのは、土、水、風、火を指しますが、化学でいう物質的な元素とは異なり、象徴的な捉え方で、自然界のありとあらゆるもの、そして私たちの性質・体質、起こる出来事もこれらの組み合わせや比率によって表現されていると捉えることができます。
そして、その植物の背景にある四大元素(土、水、風、火)のどのエレメントが強く表現されているかについて感じると、植物の薬効の理解や私たちの魂への働きかけの理解を深めることができるのです。
植物の姿、形、色には意味があり、そこに植物の本質的な力が表現されています。
このような時間をかけて、対話するように植物を観るという時間を実際に過ごしてみますと、その植物の姿や形、色には意味があり、植物や自然に対しての畏敬の念、そして私たちは美しく完璧なものに囲まれているということを実感できるように思います。
植物をただ見たり、名前くらいは知っているけど、、、という、植物をただ「物として認識する」関係性から、植物を深めた自然に対し、深い畏敬の念、尊敬の念をもつことへのシフトが、本質的な植物療法を行っていくうえで、最も重要なことではないかと思います。
植物や自然界との関係性を深め、そのうえで植物と一緒に仕事をする。そうすると植物や植物から抽出されたエッセンスはおもいがけない力を発揮してくれます。植物療法家としてそんなあり方を目指しています。