星・大地・植物・人間のつながりが健康を取り戻す

今年の振り返りと、来年への想いを言葉にしてみます。

今年は、植物観察をして植物と対話するだけでなく、大地(畑)、星々や天体、そして自分自身の人生(バイオグラフィー)と対話を試みた一年でした。

この数年は、とくに植物観察に深く没頭してきましたが、今年はその意識が天と地へと大きく広がり、良い意味で「植物から自由になった」ような感覚があります。

バイオダイナミック農法と星々の学び

今年は、「バイオダイナミック農法」の学びに力を注ぎました。

バイオダイナミック農法(シュタイナー農法)は、大地・植物・動物・人間・宇宙(星や惑星)を一つの生命ある全体として捉え、そのリズムと力を活かして農や暮らしを営んでいく思想であり、実践です。

この学びの中で、「バイオダイナミック農法とは、宇宙の〈理〉を知ることなのだ」と教えてもらいました。

だからこれは、特定の農法に限った話ではなく、あらゆる農の営みに通じる根源的な視点であり、そもそも「農」だけの話ではありません。

人間の在り方、さらには地球の進化そのものにも関わる、生き方へとつながっていく大切なテーマなのだと感じています。

畑・鉱物界との対話

今年は、バイオダイナミック農法を学びながら、自分の畑の地形図を確認したり、畑周辺の母岩が何であるかを調べたりと、鉱物界とも意識的に関係を結ぶようになりました。

畑を「作業の場」としてではなく、一つの存在として、生きたものとして畑全体に意識を向ける一年でした。

そして学んでいく中で分かったことは、バイオダイナミック農法は、知識を得てすぐに実践できるものでもなく、種まきカレンダーに沿って作業すればよい、というレベルのものではないということ。

「バイオダイナミック農法をやっています!」と、簡単に言えるものではないのだということがわかりました(笑)。

これは食べものや土、畑全体に対する錬金術なのだと、ようやく今、理解し始めたところにいます。きっとこれも、一生をかけて学び続けていくテーマなのでしょう。

天体・星々との対話

バイオダイナミック農法の学びと響き合うように、今年は太陽や月、そしてその背後にある星座についても、意識的な観察を続けました。

星座図を描いたり、月のさまざまなリズムを感じながら植物を観察したり、天体のアスペクトから天気を予測することも続けてきました。

また、内的平静のための読書部では『星と人間』を読み進め、惑星の新たな側面に触れながら、星々が人間にどのような影響を与えているのかを、知識だけでなく感覚としても受け取ることができました。

季節・祝祭・地球の呼吸

季節の移ろい、そしてその節目にある祝祭についても、深く洞察した一年でした。

地球の呼吸を感じながら、目に見える世界だけでなく、目に見えない世界の認識も含めて、四季の中で何が起こっているのか。

自然のリズムの中で、人間として何を受け取り、何を育んでいるのか。そんな問いとともに、一年を歩んできたように思います。

自分の人生(バイオグラフィー)との対話

ルドルフ・シュタイナーの人生学(バイオグラフィー)は、人の人生を「偶然の出来事の連なり」としてではなく、魂と精神の成長プロセスとして読み解くための認識へと導く学びです。

それは自己分析や単なる回想ではなく、人生の背後に流れている秩序・リズム・法則性・意味を認識していく道です。

私は現在、バイオグラフィーワーカー養成コースに参加しており、今年はファンデーションコースを修了し、アドヴァンストクラスへと進みました。

ファンデーションコースの最終日、私はとても深い体験をしました。最後の課題は、自分の人生を俯瞰する「ライフパノラマ」を水彩で描くこと。人生を点ではなくひとつの流れとして見つめ、その中にあるつながりを見出していく作業です。

その中で「これからの未来」を描く時間がありました。そのとき、ふと、思い出したのです。

なぜ私は、この地球に生まれてこようと思ったのか。惑星をめぐる魂の旅の終わりに、私が自ら決意してきたことを。
(詳しくはこちらのブログで あるべき姿・あるべき形 – ハーバルメディスン|Herbal Medicine

医療・病・健康というテーマが人生の土台にある

アドヴァンストコースに入ってから、私の人生の土台に流れているもの、多くの時間を費やし、深く影響を受けてきたものとして、医療の現場での活動や、ホリスティックな視点での植物療法の提供や、病気の人との対話が改めて浮かび上がってきました。

振り返れば、人生のさまざまな体験を通して、病気とは何か、薬とは何か、健康とは何か、それらの概念が、私の中で何度も作り替えられてきたことが分かります。

私はもともと理学療法士でした。「病気を治したい」「病気とは何か?」という思いから、医療の道に進むことを選択し、この仕事を選びました。

20代前半、実際に医療の現場で働く中で、身体だけのアプローチには限界があり、心と体は切り離せないということを強く実感しました。そこから代替療法であるアロマテラピーに興味を持ち、自然療法の世界へと足を踏み入れました。20代は、知識を吸収することに夢中になり、アロマテラピーを仕事として確立することに力を注ぎました。

30代になると、「本当の健康は、自然との調和の中にある」という確信が強まり、医療の現場に代替療法を取り入れることの大切さを、医療従事者に伝えてきました。

エビデンスがなければ通用しない世界。だからこそ、化学や解剖生理学の視点からも徹底的に掘り下げました。

さらに、アロマテラピーだけでなくメディカルハーブも学び、「症状や病気を治せる」というある種の誇大感覚の中にいた時期もありました。

37歳で里山へ移住し、便利な街中での暮らし方から大きく変化しました。私の内側には、物質的な視点と魂の視点という強い二極性の葛藤が生まれました。

やがて街中で行っていた仕事を手放し、里山で、植物や自然と共に生きる暮らしを選びました。自然と切り離されていることの弊害を深く考え、循環を生み出すことに意識を向けるようになりました。

40代で、アントロポゾフィーや植物観察と出会い、フラワーエッセンスについても学び直しました。

見える世界に、見えない世界の認識を加え、人間や植物を根本から捉え直す探究が始まりました。

植物を観察し、植物の色、形、ふるまいの意味を知ること、植物をメディスンとし自分の在り方を学ぶこと。それは、植物から秘密を教えてもらうようなもので、いつしか私のライフワークとなっていきました。

49歳から木星期の創造と成熟の時代に入り、今年、50歳を迎えました。

病気とは、単に排除すべきものではない。セルフケアや「治す手段」「効能」を知ること以上に、もっと大切なことがあるのだと、今ははっきりと感じています。

健康にとって何よりも大事なこと。それは、「人間の眼差し」そのものを育てることです。

星、植物、大地との関係性を回復すること。その中で、病気を解き放つのではなく、人間を解き放ち本来備わっている治癒力が目覚めていく。人間の生き方そのものを、薬として育てていく道を歩むこと。

ここにきて、私はようやく、その想いに自分の内側から出会うことができました。

これまで積み重ねてきたことの内と外が反転するような、ひとつのメタモルフォーゼを遂げたのだと感じています。

地球の未来と人間の健康は、星々や大地、植物、四季との関係性をどのように結び直していくのか。その新たなまなざしと認識に、深くかかっていると、私は考えています。

2026年 改めて医学の学びへと

面白いことに、そんな気づきに出会った矢先、アントロポゾフィーの基礎医学を学ぶ道が、まるで用意されていたかのように現れました。

来年、私はアントロポゾフィーの認定医を養成するコースに参加させていただけることになりました。本来は医師のみを対象としたコースで、通常であれば医師以外が参加することはできません。

けれど、理学療法士が体系的に学ぶ場が現在ないこと、そしてこれまでの歩みが考慮され、特別に参加を許可していただくことになりました。

2022年12月、私は医療の仕事をすべて手放しました。それでもこうして一周回り?再び医学の世界に触れることになったことに、深い必然を感じています。

そして、それは、これまで私が学んできた医学とは異なり、目に見える世界に、目に見えない世界の認識を加えた医学です。

人間や健康を、根本から捉え直す学びになるに違いありません。今はただ、その扉の前に立てたことが、嬉しくてなりません。

2026年 星・植物・大地との関係性の結びなおし

2026年は、星・植物・大地との関係性を回復することを軸に、人間が本来持っている治癒力を目覚めさせていく。そんな道を、コースという形でスタートしたいと考えています。

人間の生き方そのものを、薬として育てていくこと。プロセスそのものを薬としていくこと。

私自身も、その道の途中にいます。だからこそ、一方的に教えるのではなく、共に歩み、共に探究していく場でありたいと思っています。

セルフケアの「方法」や治すための「手段」、植物の「効能」を知ること、病気にならないよう体質を整えることなど、誰かに知識を教えてもらうという「目に見えること」からの取り組みに重きが置かれる時代、

星・植物・大地との関係性を回復すること、目に見えない世界の認識を加えて人間存在や自然界を捉えなおすこと、自分の人生を顧み、見えない魂の意図を見出すことというような学びに心を向ける人は、決して多くはないのかもしれません。

それは、誰かに教えてもらうことではなく、自らが観察をし、自然の言葉を自らが聴く道でもあります。そして、一つ一つの秘密を解き明かし自分の知恵にしていくような、そういう時間がかかる取り組みだからです。

けれど、だからこそ、私のもとへ訪れ一緒に歩みたいと思ってくれる一人一人との出会いを、何よりも大切にしていきたいと思っています。

来年に入ってこちらのコースの詳細をお伝えいたしますね。

こんな私とこれからもお付き合いくださる方、これから新たに出会ってくださる方をお待ちしています。

来年もよろしくお願いいたします。

土屋いづみ

植物観察家:植物の言の葉を読む人。夫と猫4匹と里山で暮らし。
里山に生えている植物や、地球のお庭と名付けた畑で植物を観察しながら、自然の叡智につながる植物観察講座、四大元素と植物観察、里山薬草学、植物から学ぶフラワーエッセンス講座などをお伝えしています。日々のレッスンの様子は、インスタとFacebookをチェックくださいね。
「植物の色・形・ふるまいには意味がある。植物を対話するように観察すれば、精妙な感性や本質を観る目を養う。植物、人間、宇宙のつながりを知る古からの学びや植物との共鳴を通じ、自分と自然の叡智に触れる。」

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