(里山に住み始めもうすぐ10年。改めて、地球のお庭や里山での暮らしについてその10年を振り返り、自然から得た知恵について綴っております。地球のお庭のはじまり の続きです)
里山に引越しし、最初の1年、仕事場に通うため、里山と街の中心地への行き来を繰り返していました。
その新たな土地が体になじむまでの間、私の中には、たくさんの二極性が産まれ、肉体的にも精神的にも、二極を右往左往している状態でした。
街中での暮らしと田舎暮らし
便利と不便
時短と時間をかける
消費と生産
メディカルとホリスティック
物質性と霊性
パーソナリティーと魂
目に見える世界と見えない世界
自分と周りの望むことと自分の望むこと
男性性と女性性
子供を産む産まない
街の中心地での仕事は軌道にのっていましたし、手伝ってくれるスタッフもいました。
すぐ隣にはおしゃれなカフェがあったり、当時は地方のテレビ番組などにも取り上げられたり、お客さんもたくさんお越しくださっていました。
そんな状況の中、周りのいろんなことを考えると、なかなかすぱっとは移転を決められずにいました。
人はなぜ葛藤するのか?
何かに悩むときには、そこに直線的な考えがあったり、視点が固定されていたりします。
人の中には、有限の地上世界を生きるのに必要なパーソナリティの部分と、無限の魂存在としての欲求があります。
例えば、ふたご座はギリシャ神話に出てくるカストルとポルックスという兄弟がモデルになっています。
ギリシャ神話では、カストルとポルックスは、大神ゼウスとスパルタの王妃レダの間に、双子の兄弟として生まれました。ただ、カストルは人間の子として、ポルックスは神の子として生まれてきます。
カストルは有限の命を持ち、ポルックスは不死身の命を持っています。
このふたご座に象徴されるカストルとポルックスは、自分の中にあるパーソナリティと魂と捉えることができ、人の中にある二極性の表現と言えます。
人は、このパーソナリティの部分と魂の部分に葛藤が起こり、いったりきたり、二極性の中で苦しみます。
本来、パーソナリティの部分は魂の欲求をこの世で叶えるために使う部分ですが、現代社会の中で、パーソナリティの声が大きく、魂が眠っているかのような状態の人が少なくないはずです。
人がその葛藤から本当に解放されるためには、魂の欲求を聞くしかありませんが、常に二極を揺れながら、葛藤をしながら、成長していきます。
ある意味葛藤は、魂の声に気づくためのメッセージとも捉えることができますし、葛藤は人間の本性なので無くなることはありません。
ただ、葛藤を繰り返しながら、学びをつみ重ねることで意識が広がり、パーソナリティーの声と魂の声を識別する力が高まっていきます。
パーソナリティーからくる欲求か、魂レベルの声からくる欲求なのかをまず聞き分ける視点をもつことが重要です。
パーソナリティの声は、恐れからくる声だったり、この社会の基準の中で得られる名誉や成功への欲求や、自分の正しさを主張することかもしれません。
また、パーソナリティは有限の世界のみを知っていて、過去にもどついて自分は誰かを決めたり、自分の境界を維持することに働きます。
私の「軌道にのっている仕事を手放せない、周りのことをいろいろと考えて移転をすぱっと決められない」というのは、このパーソナリティーからの声です。
魂からの声は、有限のこの世の視点より、もっと大きな世界があることを知っており、本当の幸せは物質世界の基準でははかれないことを知っています。そして、自分というよりは他の人の役にたつことが喜びになっているでしょう。また、魂の成長のためには、常にチャレンジを望みます。
私の「里山で自然豊かな場所で、お庭つくりから「共存」「調和」「循環」を創りたい。実際の植物にふれながら、自然を丸ごと感じながらアロマをお伝えしたい。お客さんに自然の中で過ごし喜んでいただきたい」というのは魂からの声です。
人によっては、パーソナリティーレベルの二者選択で常に迷っている人もいます。こういう人は、自分の魂的な欲求とそもそも挙げている現実の選択肢にずれがあり、常に葛藤がつきまとうかもしれません。
あるいは魂を完全に眠らせて物質主義の中で、感じないように生きているかもしれません。
魂からの声であるとわかったら、勇気をもってそちらを選択すればよいですが、これがなかなかすぐにはできず、難しいですよね。
私もそうでした。決めるのに1年近くかかりました。
二極の間でいったりきたりというのは、直線的な思考にとらわれています。どちらが良いか、悪いか、自分にできる、できない、と葛藤します。どちらかを選ぶことで、葛藤や悩みから解放されると考えている状態です。
そんな葛藤中には、どちらが良い、悪いという直線的な思考をひとまず置き、早く答えを出そうとしたりせず、まずは直線的な世界から出て、この二つを捉えることが役立ちます。
大事なのは、その二極の直線を三角形にした視点です。
その二極を底辺にし、三角形の頂点の視点を加えます。
ふたご座というのは、「愛と調和の星である金星」がそのエネルギーを運ぶと、その影響を受け、二極性が調和され統合されていくそうです。
ふたご座という極の二点と、金星の一点が加わり、三角形となります。それらが、調和され三点が一つの〇になれば、内からの衝動としてヴィジョンが湧きあがります。
それは、力強い声なので、それに従って動いくことになるでしょう。
葛藤から魂の道へ望むときに、自分の内にある金星の力を用い、調和させていくことができますし、葛藤の中に調和につながる道が必ずあるということを信じることは大切です。
では、具体的に、金星の力を使うとはどのようにしたらよいでしょうか?
これまでお話ししたことは、里山に引越し10年経つ今の私だからこそ、その当時の私に伝えられることですが、当時の私はどのように葛藤に向き合えばよいのか、無知でした。
ただ、二極に揺れ動く状態に対して、直感的に「香りを観る」ということを通じ、直線から〇への変容を体験しておりました。
金星の役割をする香り
私は、二極性の間で揺れ動く気持ちに対して、精油の香りを用いました。
香りはただ自分の好きな香りを嗅いでリラックスするだけに使うものではありません。
普通に香りを嗅ぐのではなく、香りにも嗅ぎ方というものがあるのですが、自分自身の内観に用いることもできます。
香りがあることで、自分自身の心の奥深く、自分の内側につながることが容易にできます。
不安の中にどっぷりと浸かり「私=不安」という状態になっていたり、その不安に蓋をして、不安が無い状態のようにふるまったりする状態では、気づきや意識の変化は起こりません。
「不安」という状態があるとして、私の一部が不安な状態であり、私には不安を感じている部分があるという風に、不安という感情を自分の一部として受け取ることができるとき、高い視点で自分を観ることができ、気づき、意識の変化が起こります。
香りを用いることによって、今自分に何が起こっているのかを、客観的に観ることに役に立ったり、自分の中で感じている違和感に気づいていくことができます。
そして、何よりも、精油の香りは、二極の揺れの中で不安になっている気持ちに寄り添って包み込んでくれました。
今思えば、ふたご座の状態に対して、香りが金星的な役割をしていてくれたということです。
香りを丸ごと存在として味わう。その香りの体験を観る。
私の中に起こっていることを受け取る。
それは、二極性の直線的な感覚から離れ、二極性が少しずつ統合されていく体験です。
実際どのように香りの体験を観ていけばよいのかを語る前に嗅覚という特別な感覚について述べたいと思います。