植物観察実践研究コース(自然の叡智につながる植物観察講座を修了した方対象)で、菌根菌のテーマが話題にあがっております。
植物の学びは植物の導きによって、どんどん学びが自然に展開していくのが面白いです。
(もちろんレッスン内やるべきことがあるのですが、こちらのコースはベースがある方々なので、ゆとりをもって、自由に広げていくこと、自ら考えることを大切にしております。みんなと一緒にレッスンを創ることによって面白い奇跡がたくさん重なります。)
今回のテーマ
- ハハコグサのつぶつぶ
- アーバスキュラー菌根菌のこと
- シラカバとベニテングダケ
- 菌根菌と星々と木々たち
- 植物観察と問い
ハハコグサの根のつぶつぶ
菌根菌について深めるきっかけになったのは、七草の一つである「ハハコグサ」を観察されている受講生さんが、ハハコグサの根につぶつぶがついていることを発見したことからです。
「このつぶつぶって、何だろう?」
マメ科に根粒菌がついていることは皆知っていて、それに似ています。
「ハハコグサにも根粒菌ついているの??」って、最初はそんなレベルだったのですが、ふと「菌根菌」かな?(菌根菌が目に見える形で存在するとは思っていなかった)と思い、その後調べてみると、下記のサイトを見つけることができました。
「根の弱い植物種は菌根菌に依存することが多い。とくにキク科の近くでは菌根菌が殖えやすく、ハルジオン、ヒメジョオン、カタバミなどは要チェック」と書かれていました。
【共生菌の力】教えて、ヘルメット千徳さん! 菌根菌ってどんな菌? – 現代農業WEB
ハハコグサもキク科です。

その後、ハハコグサを観察されている受講生さんも、ちょうど菌についてが気になっていたそうで、菌根菌についていろいろと調べてくださいました。
聞けば、菌根菌にもいろいろ種類があるということがわかりました。
主な種類は、アーバスキュラー菌根菌など菌糸が根の表皮組織に侵入する「内生菌根菌」、菌糸が根の表皮組織に厚い菌糸層を形成する「外生菌根菌」だそうです。
アーバスキュラー菌根菌のこと
アーバスキュラー菌根菌についてわかったことをまとめました。
・アーバスキュラー菌は地球上で植物が生えている場所のほぼどこにでもいる。
・陸地にいる全植物の8割はこの菌が感染している。感染していない植物の方が少ない。
・アーバスキュラー菌根菌がいなくなると植物の生育が相当貧弱になる。
参照元:アーバスキュラー菌根菌とは? | 植物-微生物共生研究開発チーム (RIKEN BRC)
・菌根菌は糸状菌(真菌)で、根粒菌は細菌
参照元:作物の生育を促進させる「菌根菌」とは?種類や効果、増やし方、根粒菌との違いなど、菌根菌を徹底解説!|農業・ガーデニング・園芸・家庭菜園マガジン[AGRI PICK]
・根毛が多いホウレンソウなどの「ヒユ科」やキャベツなどの「アブラナ科」には共生しない。
・根毛があまり発達していない「マメ科」や「ヒガンバナ科」は菌根菌の効果が出やすい。
参照元:作物の生育を促進させる「菌根菌」とは?種類や効果、増やし方、根粒菌との違いなど、菌根菌を徹底解説!|農業・ガーデニング・園芸・家庭菜園マガジン[AGRI PICK]
・アブラナ科、カヤツリグサ科、タデ科、アカザ科は共生しない。
・共生しない植物はもともと植物自身の根に無機物や水分の吸収能力や耐病性がある。
参照元:アーバスキュラー菌根菌と共生しない植物について | みんなのひろば | 日本植物生理学会
シラカバとベニテングダケ(外生菌根菌)
受講生さんが、菌根菌について教えてくれていた時、シラカバの根元に生えてくるベニテングダケのことが頭に浮かんでおりました。
ベニテングダケというのはよく童話や物語に出てくる毒キノコです。

北半球の温帯地域に生息しており、日本でも北海道から九州までの森林や山地で見かけることができるキノコです。
トナカイはこのベニテングダケを食べるそう。サーミ族は、トナカイがシラカバの根元に生えるベニテングダケを食べながら移動し、トナカイが移動する場所を示すと考えるそうです。
以前、シラカバは不毛の地にほかの木が生長できる足がかりを作る「開拓者の木」であると述べました。新しい場所をトナカイが教えてくれるのですね。
シラカバ ケルトの木の暦① – ハーバルメディスン|Herbal Medicine
気になって調べてみると、なんとベニテングダケは外生菌根菌であることがわかりました。
個人的にシラカバのことを深めているところで、菌根菌とつながるとは思わず、驚きました。
「外生菌根菌は樹木の根の表面に存在し細胞の内側にまでは侵入せず、細胞壁の隙間の迷路をたどるように菌糸を伸ばして共生している。そのため根の表面にはもやもやとした菌糸が確認でき、地表にキノコとなって現れるものもある。
一方、アーバスキュラー菌根菌は根の細胞内に入り込んで共生するため、根の表面はつるつるしていて、キノコとなって地上に現れることはない。」と書かれている記事も見つけました。
引用元:森林生態系を支える菌根菌ネットワーク【地面の下のたからもの】 | Science Portal – 科学技術の最新情報サイト「サイエンスポータル」

菌根菌と星々と木々たち
森林生態系を支える菌根菌ネットワーク【地面の下のたからもの】 | Science Portal – 科学技術の最新情報サイト「サイエンスポータル」
こちらのサイトの記事、ぜひ読んでほしいです。
「森林には、サクラ、ツバキ、カエデ、クスノキなどアーバスキュラー菌根菌が共生する樹種と、マツ、ナラ、シイ、シデなど外生菌根菌が共生する樹種があります」と述べられています。
また、「どこの野山でもマツ林は普通に見られるのに、サクラ林が自然にできることはなく、この違いに菌根菌のタイプが関わっているのです。外生菌根菌が共生するマツの根の周囲には共生菌が蓄積して同じマツの実生の成長を促し、マツ林ができあがります。一方、アーバスキュラー菌根菌が共生するサクラの周囲には病原菌が蓄積してサクラの実生の成長を阻害し、多様な樹木が育つことになるのです。」とあります。
ちなみにアカマツなどと共生する外生菌根菌がマツタケです。マツは針葉樹。土星の木ですね。サクラは月と関係します。土星と月は対となる惑星。
シラカバは金星と関係します。
そして、マツとシラカバは不毛の地に最初に生えてくる樹木。外生菌根菌により、同じ種の実生の成長が促されるのは、とても興味深いです。菌もサポートしてくれているのですね。
サクラは、アーバスキュラー菌根菌が共生して、実生の成長が阻害されている。なぜだと思いますか?
ここで考えを述べるのは控えておきます。
「星々と木々」を受講された方、まずはぜひ考えてみてくださいね。考えたことをシェアくださった方には私の考えもシェアしますね。

植物観察と問い
植物観察をすると、色々な問いが生まれます。
植物の本質的な力を知るのは、問いについて考えるように見る、観るように考えていくことによってです。
そして、その答えは、自然科学でわかっていることの答えを探すことではありません。
問いについても、なぜその植物はこのような色や形をしているのかなど、ネットで検索してもわからないことについて考えていきます。(昆虫との関わりであるという自然科学的な見方でのみとらえることはしません)
植物観察は目に見えないことも観察していきます。
問いについて考えるように見る、観るように考えていくことというのは、0から1を生み出す行為でもあります。
答えがあっているか、合っていないか、白黒をつけるような答えではありませんが、その答えは腹の底から納得する答えで、真理であるとわかる答えが得られますよ。
植物観察は、そういう思考をするための自然界の理念や観察の仕方を学んでいきます。
思考するというのは純粋で自由につながる行為であり、発見や気づき、植物へのまなざしを育みます。
植物観察、一緒にしませんか?
★★★お知らせ★★★
〇星々と木々 読書&解説講座
3月10日~
オンタイム受講(オンラインと教室対面受講の方)、完全アーカイブ受講承ります。
〇第8期 自然の叡智につながる植物観察講座 は2025年3月開講です。
オンライン受講と教室での対面受講、どちらも可能です。30分程度のコース説明会を現在行っています。ご興味のある方はお問い合わせください。現在日程調整中です。ご希望の曜日などある方はお知らせください。
〇地球のお庭 植物の自由学校 説明会実施中
4月開講 地球のお庭 植物の自由学校 – ハーバルメディスン|Herbal Medicine
お申込み:お申込み
お申込み・お問い合わせ
ライン