地球のお庭とは、Herbal Medicineに併設しているハーブガーデンのことです。
里山に住み始めもうすぐ10年。改めて、地球のお庭や里山での暮らしについて振り返ってみようと思います。
以前は、広島駅北口の今は開発が著しく進んでいる地域のとても便利な場所に住み、広島駅から徒歩5分の場所にアロマの教室を開いていました。2012年12月安佐南区の市街地に一番近い里山へ引っ越しをしました。
当時ハーブの栽培をほとんどやったことなく、植物を育てても枯らすことが多かった私です。
今でもハーブの栽培は初心者と思っておりますが、地球のお庭でハーブを育てることは、大きく私の人生や価値観に影響を与えています。
植物のことを知りたいという衝動と里山への移住
2007年、当時アロマトリートメントサロンの仕事をしていましたが、それだけではなく、アロマテラピーの学校を開いて、人に伝えるようになりました。
人に伝える上で、精油の成分や活用の知識はたくさん知っているのに、植物のことをほとんど知りませんでした。
アロマテラピーで使う精油は小瓶に入れられ売られています。その精油は世界中の芳香植物から抽出されています。
様々な地域で流行る病には、必ずその土地に人を助ける植物が存在するという話を聞いたことがあります。
歴史が古く、それぞれの文化で昔から使われ、安全性が確認できる薬草が精油という形になって、現代私たちの手元に届いています。
小瓶に入っていると、多くの人は当然ながら精油を物として扱います。
精油が植物からとられているもので、背景には植物の生命力があるということを忘れてしまいがちです。
なんだか、おしゃれで良い香りのするアロマ、それより一歩進んでアロマの基礎知識を学んでも、精油を有用な成分の集まり(物質)として捉え、天然のもので心と体を癒すというレベルにとどまります。
正しい知識を学び、薬と同じように自分自身が精油が扱えるのは素晴らしいことですが、精油は薬とは違い、植物の生命力がそこに含まれています。
植物の生命力とは何だろう?
レッスンにおいても、目の前のテキストには、その答えは書かれていないし、私自身もどのようにそれを伝えていけばよいのか?納得するような伝え方ができていませんでした。
そもそも、日本で学べる一般的なアロマテラピーの勉強は、植物についての情報がほとんど含まれていない状態です。
いつか、フランス人の先生がフランスのアロマは植物から学ぶとおっしゃっていました。
精油は植物の一部。植物や自然を知ることでもっと大事なことが見えてくる気がしていました。
2012年、広島駅の近くのとても便利な街から、里山へ移り住みました。きっかけはおうちを建てることになったからなのですが、おうちを建てるのであれば、自然がたくさん残っている里山へと考えました。
これまでやってきたアロマのスクールも実際の植物に触れながら五感で伝えたい、消費するばかりではなく、生産できるくらし、利便性の追求ではなく、手作りを大切にした暮らし、スローな暮らしがしたい。そんな夢を持って。
今思えば、よく思い切ったと感じます。
便利な市街地から里山へ。当然暮らしや仕事の仕方は大きく異なります。
本当のアロマテラピー
里山に移住して、最初の1年は広島駅の近くでやっていたサロンに車で通いながら仕事をしましたが、フレッシュなハーブの香りを皆様に嗅いでいただきたいとの想いで、自宅の100坪ほどある畑をハーブの庭にすることにしました。
ほぼ育てることは素人同然だったので、わからないまま始め、不安もたくさんありました。
最初の1年は畑の半分以上が雑草で埋め尽くされるという結果に。ダメにした植物もたくさんでした。
それでも順調に育ったハーブからは芳しいフレッシュな香りを嗅ぐことができました。
それは精油の香りとは全く違います。そこには「本当のアロマテラピー」がありました。心地よい濃度の香り。
自然の中で育つ植物を見て、触れて、嗅いで、そのハーブをお茶でも飲んで、庭の様々な生き物を見て、風を感じ、大地に立つ。
自然を丸ごと感じながらのアロマテラピーをお伝えしたい。そんな気持ちになっていきました。
地球のお庭という名前
自分の庭に「地球のお庭」と名付けました。
なぜ地球のお庭という名前にしたかというと、ある日、庭仕事をしながら、庭は自分の心が投影されるなぁと気づいたのがきっかけでした。
当時の私は、里山から市街地へ毎日通い、忙しくしていました。当然、庭仕事は後回し。庭は雑草に覆われますし、植物も弱まります。
私の心は庭とつながっている。
庭は大地の一部であり、人、環境、自然とつながっている。
目の前の自然のすべては、地球全体につながっている。
私自身の心、私自身の選択、一つ一つが地球へとつながっていくのだと、そんなことに気づき、そこからお庭を「地球のお庭」と呼ぶことにしました。
そして、お庭作りから、「共存」「調和」「循環」を創造していこうと決めました。
そんな思いが出て、働き方について見つめるようになりました。里山から市街地へ通う仕事の仕方について、このまま続けるのか?いつまで続けるのか?
実際の植物に触れながら五感で伝えたいというのが私の夢。ならば里山でのレッスンが一番良いのでは?
でも、こんな田舎にいったい誰が来てくれるだろう?
これまでのお客さんは、公共機関で通って来られる方がほとんど。県外の方もいらっしゃる。車が無ければ里山まで来るのは難しいかもしれない。
色々と思考がぐるぐると。いったりきたりという状態を繰り返しました。
つづく