カキの葉茶つくり

黄緑色の若葉が目をひくカキ。よく見れば、花の蕾がついています。もうすぐ花が咲きそうです。

柿の花

柿の葉のお茶は、若葉のころに摘み、通常蒸すという工程を経て乾燥してお茶にします。

柿の葉を使ったお茶でも、加工の方法によって随分味は変わります。自分好みのお茶を作るヒントについてお話します。

カキの効用

カキの実は食用としておいしいのはもちろんのこと、実についている蔕(へた)は柿蔕(してい)という生薬でしゃっくりや咳止め、吐き気止めに有用、葉には血圧降下作用がありビタミンCも豊富です。

また、未熟の果実から作られる柿渋も防腐性や耐水性を期待して、和紙や漆器、和傘や雨合羽、建材や家具に塗り使われるだけではなく、火傷やしもやけ、かぶれなどに使うお薬でもあります。

カキは本当に余すところなく、活用できる素晴らしい植物です。

薬草茶の製造過程によって異なる抗酸化性

大学院の頃に、薬草茶作りをどのように行うか、その加工の方法によって、抗酸化性がどのように変化するかについてを、お茶作りに活かすために研究していました。

機能性の高い成分を含んでいる薬草でも、その薬草をどのように乾燥させるのか、例えば凍結乾燥、日干し、陰干し、機械乾燥など方法はいろいろあります。

また、機械乾燥であれば、何度くらいで乾燥させるのか、蒸したり、発酵させたり、ローストする方法もあります。

その加工の方法や保存方法によって、ずいぶん抗酸化性は変化します。そんなことを研究していました。

その時には、味や香りの官能評価まで至らず、抗酸化性の科学的データーに着目していましたが。

カキの葉茶をいろいろな方法で作る

先日、里山薬草インストラクターコースで、カキの葉をどのように加工すればおいしいお茶ができるのか、みんなで実験しました。

機械乾燥させたもの、2分蒸して機械乾燥させたもの、天日干し2日間+蒸し+機械乾燥、日陰干し2日間+蒸し+機械乾燥、他にもそれぞれをローストしたり、発酵させたり、いろんな方法で試し、それぞれを試飲しました。

こちらはそれぞれのドライの葉ですが、色も違いますし、香りも違います。

お茶にして飲んでみると、味も全く異なることがわかりました。さらにこれらをローストすると、大きく味変します。

同じカキの葉から作るお茶でも、10以上の味のレパートリーが増やせそうです。

どれが一番おいしいか、好みもあり、本当にお茶作りをするなら、官能評価をしたり、アンケートを取ると良いかもですね。

それから、大学院で研究しているときには、日干し乾燥や高温乾燥というのは、だいたいの薬草で抗酸化性が失われるので、あまり科学的にはお勧めできない方法だと考えておりました。

が、味に関しては、太陽の力も加わるせいか、日陰干しよりおいしいということも今回の発見でした。(色は日陰干しの方がきれいなのですが。)また、ローストはどの薬草もたいてい味はおいしくなりますよね。

味がおいしくて、さらに抗酸化性が高いと良いのですが、味と抗酸化性はどうやら別です。

蒸す作業はとても大事。抗酸化性が失われにくくなります。抗酸化性にかかわる成分を壊す酵素を不活性化させることができるので。

抗酸化性を失わず、かつ味もおいしい、そんなよい加減のところでお茶作りを考える必要がありそうです。

一般的な柿の葉の作り方

①若葉のころに採取し、2日間日陰干し。
②その後2分蒸す。
③葉の中心葉脈に沿って包丁を入れ、左右2枚に切る。
④それをさらに3mm程度の細切りにし、その後2分蒸す。
⑤日陰干し乾燥。乾燥したら出来上がり。

ぜひ、皆様も柿の葉作りにチャレンジしてみてください。



土屋いづみ

植物観察家:植物の言の葉を読む人。夫と猫4匹と里山で暮らし。
里山に生えている植物や、地球のお庭と名付けた畑で植物を観察しながら、自然の叡智につながる植物観察講座、四大元素と植物観察、里山薬草学、植物から学ぶフラワーエッセンス講座などをお伝えしています。日々のレッスンの様子は、インスタとFacebookをチェックくださいね。
「植物の色・形・ふるまいには意味がある。植物を対話するように観察すれば、精妙な感性や本質を観る目を養う。植物、人間、宇宙のつながりを知る古からの学びや植物との共鳴を通じ、自分と自然の叡智に触れる。」

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